ユイイツムニの家―石井智子著
私が尊敬する建築家 石井修さんの娘さんで、高津高校の先輩(最近知りました)でもある石井智子さんの著書「人=人生=建築 ユイイツムニの家」を、柳々堂書店さんの紹介で拝読。
父のDNAを受けついで設計活動をされている著者が、人がいきいきと暮らす空間としての家はどうあるべきかを、写真とエッセイで綴った一冊です。
自ら石井修さんの自邸である「回帰草案」で暮らした経験をふまえて、尊敬する父の言葉も引用しながら、緑豊かな外部の自然と一体化する空間で生活することの大切さ・素晴らしさが、飾り気のない素直な言葉で語られています。
建築家の文章によくある難解な表現は一切無いので、誰にも分かりやすく読みすすむことが出来て、読了後はほっこりした暖かい気持ちになれます。
この本が教えてくれる(建築家が)家をつくるにあたって大切なことは。。
・その場の特性(環境)をしっかり捉えて、外と家との好ましい関係を構築すること
・そこで暮らすそれぞれの家族にとって最も相応しい家とはどうあるべきか、を考え尽くすこと
・生活する中で、手に触れるもの、目に触れるものを、細部まで丁寧にデザインすること
・周囲の風景を決してこわすことのない建築(中途半端な外面であれば見えない方が良い!ー石井修さんの言葉)であること
それらがしっかり実践できた時に初めて「ユイイツムニの家」が出来るのだ!と。
久しぶりに建築設計(家づくり)の原点を思い起こさせてもらった気がしました。
(田中啓文)