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映画「ザ・バンドーかって僕らは兄弟だった」ー2020年12月記

 

ザ・バンドの誕生から「ラストワルツ」の解散コンサートまでを、バンドの中心メンバーのギタリスト、ロビーロバートソンの視点から描いたドキュメンタリー映画「ザ・バンド かって僕らは兄弟だった―ONCE WERE BROTHERS  ROBBIE ROBERTSON And THE BAND」を見に久しぶりに映画館へ。夕刻の梅田シネ・リーブルの小さな箱には、勤め帰りと思しき音楽好きが若干名。1960年代の後半から1976年の解散コンサートまでの短い間活動した、いぶし銀のようなロックバンドのドキュメンタリーとなれば、おそらく客は私と同世代ばかりかと思いきや、比較的若い世代も交じっていたのが嬉しい。

製作総指揮の一人は、映画「ラストワルツ」を監督したマーティン・スコセッシ、監督と共同編集は若手のダニエル・ロアーで、コンサート映像やメンバーやバンドと関わりのあるミュージシャンのインタビュー映像を交えながら、かっては「兄弟」だった(過去形なのが悲しいけれど)メンバー同士の絆と軋轢を、大半のバンドの楽曲の作詞・作曲者でもあるロビーが思い入れを込めて語る構成になっています。

 

 

1972 年にリリースされたライブアルバム「ロック・オブ・エイジズ」を聞いて、私がこのバンドのファンになったのは大学1年生。当時大学のフォークソング倶楽部(「海はすてきだな」というラブソングをヒットさせた、ザ・リガニーズというバンドがこの倶楽部出身でした)に在籍していた私は、この倶楽部で知り合ったメンバーとバンドを組んで活動を始めたばかりで、まだ黒人ブルースに目覚める前でしたが、ザ・バンドの(今で言うところの)アメリカのルーツミュージックを基礎にしたなんとも言えないグルーブ感と、渋くて泥臭いハーモニーに心を奪われたものでした。特に好きだったのはドラムの南部出身リヴォン・ヘルムのヴォーカル、そしてリック・ダンコの、派手さはないけれどツボを押さえたドライブ感のあるベースも結構好きでした。

当時の文化祭で同じクラブの先輩グループが、ザ・バンドの代表曲「ザ・ウェイト」を演奏しているのを聞いて、お主らやるな!と感心したものです。(ちなみにこの年の文化祭では、僕たち一年生は、皆でビートルズの「You’re  Going To Lose That Girl」を輪唱したのですが、これはこれで結構クオリティー高かったと今でも思っています(笑))

その「ザ・ウェイト」ですが、バンドの楽曲の中ではピカ一と言っていい私のお気に入りソングで、スマホの着メロにも採用!あの映画「イージーライダー」の中で、2台のハーレーダビットソンが自由奔放に荒涼たる砂漠の中を疾走する場面で、この曲が使われています。

 

 

全体的には、聖書からの引用と思しき言葉が多く出てきて、ちょっと難解で意味不明な感じの歌詞ではあります。

その中で繰り返し出てくるTake a load off Fanny,  take a load for free  と歌うサビの部分を直訳すると、前半部は「荷物を降ろしてしまえ」(Fannyの意味は複数あるようですが、ここでは省略)、後半部はfreeを「自由」と解釈すれば「自由になるために荷物を取れ」となり、freeを「ただ(無料)」と理解すれば、「荷物を取るのにお金はいらないぜ」というような意味になります。

いずれにせよ、荷物を降ろすのか?取るのか?どっちなの?という感じで、一見矛盾しているようにもみえます。しかしながら、私の勝手な解釈としては・・・後半部を例えばtake a load off  for free  と歌うとより分かりやすいのでしょうけど、それではちょっと語呂が悪いので、offを省略したのではないか?と。このoffが無くても、前半部のフレーズを受けて、後半部の take a load を「荷物を(降ろすために)取る(あるいは選ぶ)」と考えれば、矛盾しないように思います。

要は、「余計なものは持たず、(心の中の)重荷を降ろして楽になろう、気ままに自由に生きようぜ!」というメッセージが繰り返しサビで謳われているわけで、まさにイージーライダーのあの場面にピッタリですね (歌の題名のザ・ウェイトは the weight で、このloadを言い換えたものと思われます)。

バイク乗りのちょい悪親父の心が、くすぐられます(笑)。古希を迎えようとしている我々24期世代にも響く歌詞だと思います!

曲調は高揚感のあるゴスペル調。そして全体的にはまるで聖書をからかっているようにも見える歌詞。ひょっとしたら、ここでの loadは、lord にかけているのではないかと思ったりしますが、考えすぎでしょうか。

とまあ、こんな感じで聴き手が歌詞の意味を好き勝手に解釈して楽しむのを、この曲の作者であるロビーロバートソンは望んでいるのかも知れません。

(インタビューの中で歌詞に意味なんていらない、みたいな事を言っています)

アレサフランクリンをはじめとして多くのミュージシャンに、思い入れを込めてカバーされているこの「ザ・ウェイト」。歌詞のみならず楽曲そのものの秀逸さと、今は亡きリヴォン・ヘルムの渋くソウルフルなヴォーカルの魅力で、これからも永く聴き継がれていくことでしょう。

「ラストワルツ」コンサートの中では、ゴスペルグループのスティプルシンガースがゲスト参加、この曲をザ・バンドと一緒に熱唱していますが、これはもうめちゃくちゃ恰好ええので、ぜひ聴いてみて!

 

 

(熟年ライダー)

 

23件のコメント

  1. イージーライダーのピーターフォンダ、カッコイイです♪
    この音楽がザバンドなのですね

    1. ザ・バンドの曲が使われてるのは、このシーンだけだったように思うけど、バイク乗りなら一度は走破してみたいと思う場所です。

  2. ジョン・トラボルタ「団塊ボーイズ」にも
    ピーター・フォンダが特別出演しています。イージーライダー好きな人におすすめします。

    1. 「団塊ボーイズ」か~。こんな映画があったとは知らなった。ありがとう!
      原題がWild Hogsとはずいぶんな命名ですが。。。4人のハーレー親父のロードムービー!ぜひ一度見てみたいです。

    2. 貴重な情報 有難うございます!
      P.フォンダ どんな役回りでしたか?繊細で憂いを帯びたところが大好きでしたが、歳を取ってどうなったか—-見たいような見たくないような〜

  3.  私も好きなアーチストです。ウエイトのイントロ弾けますよ。確かにカントリーやブラックミュージックの混じったバントですね。当時のミュージシャンはバンドで複数のボーカルがいて良かったです、私はニールヤングが当時一番好きでした。

    1. CSNYを僕の好きな順に言うとYNSCです(笑)。やはりニールヤングの個性は傑出してますね。バンドの解散コンサート、「ラストワルツ」にヤングもゲスト出演していますが、彼がハモニカを吹きながらHelplessを歌いだすと、それまでとは違った空気が漂います。あのHeart of goldの入ったアルバム「ハーベスト」は今でも時々聴きたくなるよ!

      1. 先日、デビットクロスビーが亡くなったのは残念でした。
        イージーライダーのデニスホッパーの役作りは、クロスビーを意識したようです。そういえば、フリンジの皮ジャケットも納得です。冒頭にフィルスペクターが売人役が出ていたり、音楽好きにはたまらない映画でした。
        「団塊ボーイズ」はコメディだけど、Pフォンダのイメージはくずれ
        ないので御心配無用ですね。

  4. クロスビー、逝っちゃいましたね。音楽ジャンルにとらわれない独特の空気感でした。
    2015年にCS&Nが来日した時、密かに撮影した映像が出てきたので「ビデオ集」にアップしました。
    https://youtu.be/DzD2LnJMTlM
    限定公開でユーチューブで見れます。
    映像も音も乱れまくってますが、臨場感を楽しんでください!

    1. 僕も会場にいましたよ。デビットクロスビーは年をとるにつれ、声の調子がよくなってたのに。

      1. そうでしたか〜あの総立ちの群衆の中にいたんやね!
        僕は、何年かは忘れたけど、このコンサートの前の同じCS &Nのコンサートも見たのですが、その時よりも、この年の方がずっと良かった。
        日本のファンの思いが通じたのか。。これが最後と思ったものか。。3時間ぶっ通しで演ってくれた彼らの心意気に感動したものです。
        出来ることなら、残るSNYのハーモニー、もう一度聞いてみたいな。

  5. ちょっと外れるんですけど、今度ディランが来日しますね。もう声が出ないのではないかと思いますが、これが本当の最後かもしれないので、東京公演に行ってきます。1978年に彼が来日した時に大阪にいましたが、その時、無理をして2回も聴きに行きました。懐かしい。(大久保)

    1. 僕らより一回り上のはずのボブディランが、今回日本でいったい何回コンサートするんかな。すごいパワーやね。
      建築界で言えば安藤忠雄か。あと国立競技場コンペで隈さんに惜敗した伊藤豊雄さんも同じ歳。
      僕らまだまだかもよ(笑)
      均さん、ディランのコンサートの様子また教えてください!

  6. 初来日含めて何回か見に行きましたが、
    一番よかったのは、2014年の来日ツアーですね。オールスタンディングのライブハウスツアーで、席取りからコンサートが終わるまで約6時間は立ち続け。
    ディランが5m先に見える臨場感とバンドとの一体感。ディランを聞いて、踊っている若い観客。まさに「時代は変わる」そのものでした。
    来日のたびに違うディラン。
    東京公演のお話を楽しみにしています。

    1. 私も2014年のツアー観にいきました。還暦に近い人には立ちっぱなしは辛かった。あの時点のアルバムを何枚かスマホにダウンロードしましたよ。

  7. ザ・バンドを最初に見たとき、まるで「アパラチア山脈で出合った強盗団」のような
    風貌にびっくりした。
    しかし、アルバムを聴き込むと三人の強力な歌声と楽曲の素晴しさにすぐに虜になった。勿論、オリジナルメンバーでのライブは見たことがない。
    再編のザ・バンドの来日公演は3度と
    レヴォンとリックの各々ソロ公演は見に行った。なかでも、レヴォンとRCOオールスターズでスティーブクロッパー、ドナルドダックダンを一緒に観ることが出来たのはラッキーだった。高校時代にフェスティバルホールで観たシカゴの初来日公演とともに
    一生の思い出になっている。

    1. 確かに風貌は怪しい(笑)。ラストワルツDVDのインタビューでそれぞれが語っているように、私生活は相当やばかったんとちがうか~?
      3人はだれがリードヴォーカルをとっても格好よくて、ハーモニーがまた最高。
      再編バンドやソロ公演まで行ってるなんて、相当コアなファンですな!レヴォンは大物と付き合いがあったんやね。
      ところでシカゴ公演、ある人といっしょに聴きに行ったのでよく覚えてるけど、浪人時代やったような。。。

  8. ググってみると、1971年と1972年と
    続けて来日していましたね。
    いずれにしても、ついこの前のような。
    最近の記憶は怪しげだけれど。

    1. なるほどありがとうございます。
      どっちの記憶も確かでよかった。あの頃のシカゴは輝いてましたね。
      最近の記憶?これ確かに怪しい(笑)。お互い気をつけよう!

  9. 昨日(8月9日)ザ・バンドのロビーロバートソンが亡くなったそうです。80歳。2歳年上のはずのディランはまだまだ元気なのに。。。
    また一人好きなミュージシャンが去っていった。寂しい~~

  10. ロビーの訃報をKozu24のラインで知りました。残るはガースのみとなりました。
    好きでやっているヘボバンドのライブで
    9月に追悼するつもりです。

    1. ガースが一番年上やのにね。ガースに映画用のインタビューに行ったようだけど、没になったらしいから、だいぶやばいかも。
      ところで、motoigiさんバンドのライブのこと、よろしければ教えて下さい。皆さんに紹介しますよ~

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